機械製糸と座繰りのお話し
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製糸とはいくつかの繭から一本の生糸をつくる事で、普通お湯の入ったうつわの中にいくつかの繭を入れ、その繭から細い糸を引っ張 り上げ、お湯によって少し溶けたセリシンの力によってそれを接着させるのがその方法です。
それではその製糸の方法を紹介していきましょう。
①自動式
出来た糸の巻き取りも、糸の繊度を調整するのも機械がする
②多条式
出来た糸の巻き取るは機械がするが、糸の繊度は人が調整する
③足踏式
人が足踏み式で出来た糸を巻き取りながら、繊度も人が調整する
④座繰り
右手で出来た糸を巻き取りながら、左手で糸の繊度を調整する
(繊度を調整すると言うのは、いずれも繭を追加して太さの調整をしていく事です)
この4種類が方法として存在してる製糸で、①が一番新しい方法で下に行くほど古い時代に行われていた方法です。いずれも効率よく綺麗な糸をひくために文明と共に進化してきました。上記の4種類の製糸の特徴を言っていくと、、、
①自動式 繊度の偏差(@へんさ=太細のむら)が少なく均一に近いきれいな糸をひくことができる。商売をベースにしているため速いスピードでひき効率を考え速い速度でひくのでテンション(=ひっぱる強度)が一番きつい。ケンネルと呼ばれる糸をひっつけるための撚りがはいる。
②多条式 目分量で調整するため繊度の偏差がある。足踏み式に比べ一人で多くの糸を管理出来るため に出来上がり量が多い。 効率を考え速い速度でひくのでテンションがきつ い。ケンネルと呼ばれる糸をひっつけるための撚 りがはいる。
③足踏み式 目分量で調整するため繊度の偏差がある。一人で何本かの糸を管理できるために座繰りより も出来上がり量が多い。テンションがきつい。 ケンネルと呼ばれる糸をひっつけるための撚りが はいらないので今後作業をしていく段階で糸がさ さくれたりする事が多い。抱合(@ほうごう、= ひっつき)が悪いとも言う。 テンションをかけるとすぐに切れる悪い繭でも糸 をひくことが出来る。
④座繰り 目分量で調整するため繊度の偏差がある。とにかく出来上がる量が少ない。ケンネルと呼ばれる糸をひっつけるための撚りがはいらないので今後作業をしていく段階で糸がささくれたりする事が多い。(抱合が悪い) テンションをかけるとすぐに切れる悪い繭でも糸 をひくことが出来る。
以上が4種類の製糸の特徴ですがそれぞれが使用用途によって良かった悪かったりします。
私の知っている範囲で、現在和装業界として一般に売り物として出てくる糸は日本では自動式のみ中国でも自動式、多条式がほとんどで足踏み式、座繰りは特に変わった品種の繭のみではないでしょうか?
日本でも観光用みたいに座繰りを見せてくれる所はあると思いますけれども、、、こういう状態ではないでしょうか?現在ちまたで座繰りとして売られている糸は多条式が多い思います。
※これらは2000年3月24日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
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最終更新日2012年2月
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