カセ状の糸の名称・扱い方
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いきなりですが「綛(すが=カセ)状」の糸には「綾(あや)」というものがあり、これが糸繰りに絶対必要なものなんです。
何かお解りでしょうか?
ご説明させて頂くと「カセ揚げ(綛状の糸の形にする糸繰りの逆の作業)
の時に糸を左右に振り、糸の上に糸を斜めに乗せ繰りやすくする事」なんです。
解ったかな?
平行に乗せると糸繰り時に糸が下の層の糸に食い込み、糸が繰れない。
だから左右に振って糸の上に糸を乗せているんです。
ちょうど皆さまが「管巻き(くだまき)」の時に左右に振るのと同じ事。
これ
で解って頂けましたねっ!
「綾」が無いと使用する側にとっては本当に大変な事になる大切な作業
でしょ~!
もちろん撚糸屋さんの機械がやるのですが通常皆さまがご存
じの綾の取り方は「1カ所を支点にもう1カ所が左右に振り、糸の綾を取
っているもの」だと思いますが、撚糸屋さんの機械は「支点になっている
所も左右に動き(2カ所とも動いて)変則な綾を取っている機械」なんです。
(旧式の糸繰り機等を見られた方はこの綾をご覧になっていると思います)
この方が使用時に平行になりにくく良いみたいです。
業界用語で「綾が乱
れにくい」と言います。
またこの綾の事を「鬼綾(おにあや)」と言います。(かなりマニア用語)
ちなみに精練&染色時に「糸をさばく(両手でばんばんする)」のも慣れと適度な回数が効果的で、やり過ぎたり下手にさばくと逆に綾は乱れてしま
いますのでご注意下さいね~!
ひたすらばんばんする人は駄目!
ばんと
した時は最終地点で手を止めて糸を張った状態がベターです。
そして糸がまっすぐ伸びてひっついているのが取れればOK!
また糸の種類により綾の乱れ方も違います。
乱れにくい糸は真綿糸や
絹紡績糸系の毛羽のある糸。
これらの絹糸は糸同士の毛羽・突起物が
くっつき合うので比較的乱れにくく下手に染色しても繰りやすいです。
逆に片撚りや双撚りの長繊維系の糸は引っかかるものが無く綾が乱れ
やすく、中でも精練前など糸がつるつるの状態の時は特に乱れ安いです。
「精練をご自分でされた場合に糸が繰りにくい」とおっしゃる事が多いのもこういう原因なんでしょうね。
その後、その糸が平行にならないように「ひびろ糸」=「綾糸(あやいと)」
=「入れ糸(いれいと)」を手で入れるのですがこれが時間が掛かるまた
また大変な作業なんです。
多くの撚糸屋さんでは編み物で使われている
かぎ針を利用して入れられています。
業界用語で「ひびろを取る・入れる」
と言います。
糸繰り時に切るのめんどくさいよ~って思う方も多いのでは?でも撚糸
屋さんはもっと大変なんですよ~全部手作業ですからねっ!
ひびろ糸の入った綛状の糸を何綛か通して1本の「大ひびろ」=「力糸」
=「入れ糸」=「首吊り糸」を入れてひとまとめにする。(一度に沢山の糸
をお使いの方はご存じだと思います)
これは他の業界で言うと小箱に入れるようなものかな?(難しい表現やな~)
ひとまとめにして持ちやすくしたり、綛の数を数えやすくしたり無くても良
いんだけどあれば便利!
どうやって糸を手に取ればぐちゃぐちゃにならないように持てるか?
と困った時はこの糸を持って輪の内側に手を入れると大丈夫!
ちなみに1綛の場合やこの糸が無い場合は上記で説明したひびろ糸の何処かを持って輪の内側に手を入れて対処できます。ご存じですよね!
余談ですが当社のような糸屋が通常扱うのは、この大ひびろの入った糸を捻(ねじ)って(口で説明するのは難しいですけれども、ひねって棒状に
する)その束を何個か合わせてひもで縛り「1括(かつ)」と言う単位。
(小箱を段ボール箱に入れる感じかな?)ちなみにこの「括」と言うのが卸業界で扱う最低の単位。
糸種にもよりますが「1括」は60綛~120綛
ぐらいで形成されていて約3~5kgですかねっ!
ちなみに皆さんにお送りしている絹糸はこれ(「括」状態の糸)を僕がご注文に合わせて抜き取って精練屋さんに持って行って、加工後にお送りさせ
て頂いているんです。織屋さんには同じ種類の糸を10括とかいうロットで持っていっているんですよ!
僕の仕事の内容を解って頂けましたでしょうか?
今回の内容だいたい解って頂けましたでしょうか?
毎回毎回かなりマニアックで・・・
でも他にはこんな情報、絶対入手出来ないでしょうねっ!
※これらは2003年5月5日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
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最終更新日2012年2月
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