長繊維と短繊維のお話
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長繊維と短繊維」と言う言葉の意味をご存知でしょうか?
現在、地球上に存在する糸は、すべてこの2種類のどちらかに属しており、通常「糸」として私たちが取扱う物はこの繊維(長繊維または短繊維)に撚りを掛け加工された糸がほとんどなんです。
いきなりそんな事を言われても意味がわかんな~い!
と言う方も多いのではないでしょうか?
長繊維とは「長い繊維の集まりによって出来た糸」の総称で、
短繊維とは「短い繊維の集まりによって出来た糸」の総称なのです。
つまり、糸の製造工程の違いによって出来る素材の呼び方なのです。
それでも解らない?でしょうね!
短繊維の製造工程&特徴を理解して頂ければきっと解るでしょう!
それでは、どうぞごゆっくりとお勉強ください。ぱちぱちぱち!
■短繊維の解説
短繊維の製造工程は、長繊維またはその「くず」を機械に入れて細かく裁断し、その繊維を同一方向に引き揃え(スライバー状と言う)
それを機械によって細く長い糸の状態に形成し出来た糸なんです。
でもそれだけでは、繊維を並べただけでその繊維がくっついていな
い(糸になっていない)のでは?とお思いでしょう!
それではどうやってその繊維束くっつけているのか?
答えは、撚りを掛けることによって繊維を締め付け、糸としての強度を作っているのです。
従って紡績糸の特徴は、撚りをほどく事によってごく僅かな力で引っ張るだけで糸が抜けてします。
切れるのではなくて、音も立てずに抜けてしまうのです。ホントびっくりしますよ!
また短繊維の特徴としてよく「光沢がない」と言われますが、これ
は何故なんでしょう?
短繊維の光沢はその素材(繊維の長さ)によって決まります。使用する繊維原料の長さが長ければ長いほど光沢があり、短ければ短いほど繊維の断面の割合が増え光沢がなくなってしまうのです。
例えば同じ繊維原料を使った「絹紡績糸」でも、その加工の仕方次第で光沢が変わってくるのです。
平均10mmの繊維原料Aを使って作られた絹紡績糸と平均7mmの繊維原料を使って作られた絹紡績糸Bを比べると、Aの方が光沢があるのです。
加工前の繊維原料
が平均20mmの場合ABどちらとも製造する事ができますが、その原料が平均8mmの場合Bを製造する事は出来ますがAは製造する事が出来ないのです。
(一般に太さを表す単位として番手を利用することが多い)
絹紡績糸の品質は通常この光沢の多さ(繊維原料の長さ、繊維原料の品質)によって決まるのです。当店も、出来る限りここに重点を置いて品質の高い工場の紡績糸を仕入れております。
「富士絹」はこの絹紡績糸を経緯に使った平織りの織物です。
■長繊維の解説
上記解説の短繊維と違い、こちらは1本の繊維が長くないと長繊維とは言えないんです。
生糸の場合、繭の繊維の一番安定した綺麗な部分(上質な部分)だけが生糸(長繊維)にする事が出来るのです。
そして、天然繊維の中で生糸は唯一の長繊維なのです。
1個の繭で
なんと約1200~1500mもあるんです。
生糸が他の天然繊維と比べて光沢が強い事が解って頂けたでしょうか?
(その他、断面の形状も光沢に大きく差があります)
だからと言って長繊維だから高級で良い糸、短繊維だから悪い糸という事ではありません。
それぞれ製造する物によって向き不向きがあり、それぞれ最適な用途に応じて利用されています。
シルクと言えば通常、ブラウスなどに使用されている長繊維と言う光沢のあるイメージで
すが、最近では短繊維も靴下や体洗いタオルなどによく利用されているでしょ!
(一般に太さを表す単位としてデニールを利用することが多い)
ポリエステルのミシン糸も光沢のあるタイプと光沢のないタイプの2種類がありますが、長繊維と短繊維(一般にスパン糸と呼ばれています)の違いなんです。
一度この機会に
お持ちのミシン糸をチェックされてみてはいかがですか?ちなみにポリエステル糸は、生糸の光沢をまねするために(断面の
形状など)開発された人口繊維(化学合成繊維)です。
最後に色々な天然素材の長繊維・短繊維をご覧ください。
■天然繊維
長繊維 生糸・真綿糸・玉糸・キビソ糸・ビス糸など
短繊維 絹紡績糸・綿糸・麻糸・ウール(毛紡績糸)など
※これらは2001年2月12日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
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最終更新日2012年2月
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