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精練と絹鳴りのお話  これは絹の長所であり短所でもあります。



まず始めに一つ、昔からそうなんですがメールを頂くほとんどの方
95%以上の方が「精練(せいれん)」を「精錬」と間違えて書いてこられます。
これだけ間違いの方が多いと言うことは、伝言ゲームの最初の人(何処か
の学校や販売店)が間違われていたんじゃないかな?
(これだけ確率の高い間違いは正直見たことがないです)

皆さまはおそらく正しいと思って使われているのでしょうが正解は「精練」
(いとへん)です。以降気を付けるように!「は〜いっ!」(返事が小さいっ!)

さ〜それでは本題に参りましょう!

当店で現在ご用意させて頂いている精練の種類は「石鹸精練」「草木用精
練」(精練用ソーダ灰使用)ですがよく「どちらが良いの?」と聞かれます。

どちらにも特徴がありますが、絹糸には石鹸精練の方が優しいみたいです。
それなのに草木染用にソーダ精練をお勧めしているのは石鹸精練の後に
は石鹸の成分が残りその成分が絹糸への染料の吸収を遅くさせる作用
(緩染作用)があり染まる速度が遅くなるからです。

その他、長時間染めに時間がかかる事により逆に絹糸に負担がかかった
り綾の乱れにより糸繰りがしにくくなったりする。そんな理由なんです。


草木用精練は短時間で糸を乱すことなく染色できるし、多くの方が嫌がる
石鹸かす(染色時にお鍋の上に白く浮かぶ物質)も出ないし多くの方はこち
らを好むんです。(後、お鍋も汚れないからね!)


あと精練した時点でよく絹鳴りがする糸ほど良い絹糸と多くの方は思われて
いるみたいですがこれは大きな感違いです。同じ絹糸でも精練や最終加工
の差で絹鳴りのするかしないかは大きく変ってしまいます。

絹鳴りはフィブロイン(絹糸の繊維質の所)の摩擦によっておこりますが、石
鹸精練は草木用精練と比べて絹糸の中に石鹸成分(ロウ状の物質)が残る
から摩擦係数が下がり基本的に絹鳴りは小さくなります。
草木用精練は精練直後でもある程度絹鳴りはします。
(草木染用精練の方が「絹鳴りが大きいので良い加工」と言うのも間違いで
すのでご注意!)

もちろん、どちらの精練でもセリシンの落とし加減が少ないと絹鳴りはしません。
ただ、当店で在庫している生糸撚糸のほとんどは未精練でおいてありますの
で全く絹鳴りはしません。


しかし、これだけではないのですどちらの精練でも精練後に酸系の薬品を入
れると化学反応で石鹸成分が違う物質に変わり急激に絹鳴りは強くなるんで
す!

通常、西陣で染色をされる時も最終的に酸系の薬品を入れて機屋さんに納
めるらしいですが、これは色止め(染料の吸収をしっかりさせ堅牢度を上げ
る)の為にされる加工なんです。
もちろんこの状態での絹糸はかなり光沢もあり絹鳴りもします。

まず、染色前に酸系の薬品を入れるとどうなるか?まず良い点は石鹸精練
でもお鍋に浮き上がる石鹸成分が無くなること。
ただ、このことによって必要以上に染料の吸収が良くなり色斑がおこりやすく
なるのです。書いてしまえばこれだけのことなんですが、これを避けるため当
店では精練処理の最後に酸系の薬品は入れておりません。(通常、染色前の
状態では酸系の薬品をいれないのでこれで普通なんですけどね!)

ある方に聞く所ではこのことを知らない一般の方が多いので、精練加工後の
処理で酸系の薬品を入れて絹糸を販売している店があるみたいです。(音に
だまされるな!)

後、最後になりましたが藍染めの場合は石鹸成分が藍の釜に入るとあまり
宜しくないので草木用精練をお願いしております。
以上で本日の講義は終わりま〜〜〜す!お疲れさまでした〜〜〜!


※これらは2002年9月19日に発行したメールマガジンを変更した内容です。
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