生糸の呼び方と構造のお話し
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まずは、私たち糸屋が使う生糸(きいと)という言葉の意味は精練(せいれん)前の単糸(たんし=1本の糸)、もしくは真綿(まわた)、絹紡(けんぼう)など副蚕糸(ふくさんし)をのぞく蚕(かいこ)を原料としてつくられた糸の総称です。
まずは、私たち糸屋が使う生糸(きいと)という言葉の意味は精練(せいれん)前の単糸(たんし=1本の糸)、もしくは真綿(まわた)、絹紡(けんぼう)など副蚕糸(ふくさんし)をのぞく蚕(かいこ)を原料としてつくられた糸の総称です。
また別の呼び方で(なまいと)と言う場合は、精練前の糸を指します。(精練については下記を参照して下さい。)生糸(この場合単糸と言う意味)はご存じ、蚕という蛾(が=蝶々みたいなあの気持ちの悪い生き物、ごめんなさい!)の幼虫が
さなぎになる時につくる繭(まゆ)から取れる糸を何本か引き揃
えてつくられた糸のことです。
蚕のつくる糸は、本当に細く繊度(せんど=糸の太さ)がだいたい3デニール(#dn=生糸などの繊維の太さを表す単位)しかないのです。しかも繭1個でなんと1500mもの継ぎ目
無しの糸なんです。(これはあくまで平均ですべての繭がこうとは
限りませんのでご注意を!例外もあります。)では3デニールとはどれぐらいの太さなのか?
といいますと、長さ9000mの糸を計りにかけた時
たった3gしかない太さです。ちなみに1円玉1枚で1g、10円玉1枚で5g弱です。
ほっそーい!
その9000mで3gの糸の断面を見てみると、実は2本のもっと細い糸が合わさって出来ているのです!そしてその2本の糸をひっ付ける為にセリシンという物質(=のりみたいな水に溶ける固形物質)が着いているのです。セリシンはタンパク質で出来ていて、最近はシルクプロテインと言う名前でシャンプー、化粧品の中にも入ってる有名な物質です。
上の図を見てもらうと
黄色い部分がフィブロイン(=これが繊維であり、糸になる部分です)
青色の部分がセリシンです。
ちなみにフィブロインの断面は三角形のような形をしています。
では、我々糸屋が製糸工場から購入する、撚糸に出す前の生糸21中にじゅういちなか=21デニールを中心とした糸)とはどんな糸でしょうか?
少し小さくなりましたが答えは、下絵です。
Aを7本合わせてひとつにした物です。ひとつにすると言ってもお湯に溶けたセリシンが少し固まるだけ!(もちろん繊度によって合わす本数は変わります。座繰りの糸は
これを目分量で機械の場合は太さを自動的に調整します。)
これでも、9000mで約21gしかないのです。
ちなみに
上のAからBにする行程(繭から糸を引く)を製糸(せいし)
と呼びます。
これで生糸の構成が完璧に解ったでしょ!
めちゃくちゃ簡単でしょ!
※これらは2000年3月20日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
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最終更新日2012年2月
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