お召しと縮緬のお話し
|
いや~、僕は本当に運の良い人間だ!
なんとまたまた好意的にもメールマガジンを書いて下さる方が現れました!
正直、何の面識もない私のHPを見て、情熱だけでこんなお手間なご協力をして頂けるとは、、、
本当に感謝!感謝!感謝!
今回ご協力して下さった方は、「西陣織屋ことば辞典」の著者でもあり、 以前もテレビにも出演されるほど超~凄いお方「中西信弥さま」で~す。 ぱちぱち!
しかももうすでに続編まで用意して頂いております。 汗&笑&感謝
中西さま本当に有り難うございました。(敬礼)
今後とも色々なお知恵をお教え下さいませ。ぺこり。
宜しくお願いいたします。
感謝!感謝!感謝!
せめてお書きになった本だけでもご紹介させ て下さい。
中西信弥さまの本ご紹介 「西陣織屋ことば辞典」

中西さまそれでは宜しくお願いします~~~~~っ!
ぱちっぱちっ!
[ 御召と縮緬のお話 ] 特別講師 中西 信弥さま
どんな繊維でも濡らして引っ張れば伸び、撚りを掛けると縮むものですが、生糸は特にこの二つの性質が強いので、強く撚りを掛けた糸を巧みに応用した織物を「強撚糸織物」と言い、
その代表が「御召(おめし)と縮緬(ちりめん)」です。
両者を一緒にして「縮緬織物」と言うこともあります。
どちらも生地に細かい縮緬皺(シボ)を持つ高級着尺地ですが、強撚糸は 地組織を作ると同時に、あのシボを作る役目を担っているのです。
糸に強い撚りをかけると、チリチリに縺れて(もつれて)しまって始末に負えません。
そこで、これを濡らして引き伸ばし、そのまま糊に浸して乾燥します。
すると強撚糸は糊で固められて細い素麺のようになります。
それを緯糸に織り込んで織り上がったものを湯煎すると糊が落ちて強撚の性質が生き返って縮み、製品に皺を作るわけです。
ところが、撚糸には右回転の「右撚り」と左回転の「左撚り」があって、どち らか一方のものだけで織って糊落としをすると、不揃いで大きく長い縦皺(しわ)が出来てしまいます。
これが所謂(いわゆる)「ちぢみ」で、近頃はあまり見かけなくなりましたが、以前は夏物衣料としてよく用いられました。
御召や縮緬では、強撚糸の右撚りと左撚りを交互に織り込みます。
こうして湯煎すると、皺は細かいシボになり、湯のしして幅を整え製品とします。
右撚り左撚りを一越ずつ交互に織り込んだものを「一越」と言い、二越ずつ織り込んだのが「二越」です。
越数が多いほどシボは粗くなり、少ないと 細かいシボになります。
ところで、御召と縮緬はどう違うのでしょうか。
一口に言ってしまえば、それは「先染め」と「後染め」の相違に過ぎません。
ご存知のように生糸はセリシンという動物性樹脂で覆われていて、ゴワゴワして肌に馴染まないし色つやも悪く、うまく染まりません。
そこで石鹸などで煮てセリシンを落として(「精練」という)から染色します。
この作業を製織前に(つまり糸のままで)やるのが「先染め」で、生糸のままで織り、織り上げてから精練・染色するのが「後染め」です。
そう、御召は「先染め織物」、縮緬は「後染め織物」なんです。
ですから、 御召は織り上げて後処理をすれば、即、製品ですが、縮緬は普通、織り上げて精練しただけで白生地のまま市場に出し購入者が色や柄を染めます。その代わり糊落としは精練作業で省略できる事になりますます。
余談ですが、織物産地を「先染め」「後染め」で区別することがあります。
西陣や桐生は「先染め織物産地」で縮緬を生産する丹後や長浜、羽二重 の福井などは「後染め織物産地」というわけです。
「御召」とは、本来「呼ぶ」「乗る」「着る」ことの尊敬語ですが、どうして西陣製の先染め着尺に限ってそう呼ばれるのかについては、それなりの理由 があります。
江戸時代、徳川十一代将軍家斉の頃のことです。
家斉は五十年にわた って将軍職に居座っていて、この間年号は初めの寛政(1789~1801) から何度も変わっているのですが、跡継ぎの家慶に家督を譲ってからも 長く政治の実権を手放しませんでした。
なかなかお洒落な上にプレイボーイでもあったようで、四十人もの側室を抱えていたそうです。
男どもに取りましては羨ましいような気の毒なような話ではあります。
この方が、西陣織先染め縮緬着尺の大ファンで特にお気に入りの柄がありました。
それは濃い藍色の地に白い縦縞を無数に入れ、更に二分ごと に白の横段を織り込んだ細かい縦長の格子柄なのでした。
家斉はこれを 自分専用とし、一般への販売を禁じました。
所謂(いわゆる)「止め柄」です。
そこで呉服屋は、同じ柄を普通の平織りで織らせたり染めたりしたところ、商家の旦那衆や金持ちの息子が争ってこれを買い大流行となりました。
本物は「将軍様のお召し物」だが、イミテーションなら構うまいということで、両者を区別するために「御召」の名称が定着したのです。
今ならそれでもデザインの盗用になりますがね。
本当にたくさんの興味深い事をありがとうございました。
※これらは2002年3月10日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
ページ内の文章・写真・画像の一切の転載を禁止します。著作権は有限会社吉川商事にあります。
このページ記載の内容や新着情報は無料でご購読いただけます。
最終更新日2012年2月
|